担当からのコメント
香川県善通寺市のH様より、内装全面リフォーム工事のご依頼をいただきました!
長年に渡ってご使用されてきた和室を「キレイにして、現代的なデザインの部屋にしたい」とのご希望です。
ご希望内容から様々な施工パターンを提案し、その中からフローリングへの改修工事と、一部の空間に新調畳を敷設して和の趣を残した複合的な床構成が選ばれました。
さらに、間仕切り建具を新調することで、空間の仕切りや通風・採光の面でも大幅な機能向上を図りました。
既存床組の状況確認と撤去作業

既存の床組は長年の使用と湿気の影響により傷みが進行しており、束石・大引・根太といった床下構造材から全面的にやり直す必要がありました。
香川県は瀬戸内海式気候に属し比較的温暖で降水量が少ないものの、夏季の高温多湿期には床下に湿気が滞留しやすく、木材の腐朽やシロアリ被害のリスクが高まる環境です。
そのため、今回の工事では床下の抜本的な改修と万全の湿気対策を同時に実施することを最優先事項として取り組みました。
畳を全て撤去してから下地となる座板を剥がすと、根太の複数箇所に腐食が確認できました。

さらに根太を撤去し大引を露出させると、束石の沈下による不陸と大引自体の変形・腐食が判明しました。
これらの状況を踏まえ、既存の座板・根太・大引のすべてを撤去し、束石からやり直す全面改修方針を確定しました。
座板は丸鋸とバールを使用して分解撤去し、根太・大引も同様に解体しながら廃材を分別しました。
撤去した木材廃材はすべて産業廃棄物として適切に処理し、現場内への残置は一切ありません。
| 撤去対象:既存畳14枚、座板(荒床板)一式、根太一式、大引一式 廃材処理:産業廃棄物として分別・適正処理 作業期間:解体工事のみで約1日 |
大工造作・湿気対策工事
床下の地盤面を整地・平滑化したのち、新規束石を計15カ所に設置しました。
束石の配置は大引のスパンと荷重バランスを考慮し、910mmグリッドを基本として割り付けています。

設置に際しては既存の地盤状況を確認しながら、必要箇所では砕石を補充して転圧し、束石の沈下防止を図りました。コンクリートブロック製の束石を水平器で確認しながら据え付け、高さのばらつきが最小限になるよう慎重に施工ています。

束石の上に鋼製束を15カ所設置し、大引のレベル調整を行いました。
大引を仮置きした状態で全体の水平度を確認しながら微調整を繰り返し、仕上がりの床面が均一になるよう高い精度でレベル出しを実施しました。
鋼製束は将来的なメンテナンス性も考慮し、ねじ込み式で再調整が可能な製品を採用しています。

レベル調整が完了した鋼製束の上に、ヒノキ材の大引を配置し固定しました。
大引の固定は専用金物と木工ビスを併用し、将来的な緩みや変形を防止しました。
続いて根太を大引に直交する形で等間隔に配置しました。
根太は水平器で一本一本確認しながら施工し、大引との交点はビス固定に加えて金物で補強しています。
根太の上端が一様な水平面を形成しているか、水平定規を用いて全面確認を行いました。

床下の湿気対策は今回の工事において最も重要なポイントの一つです。
香川県の夏季は気温・湿度ともに高くなるため、床下への湿気侵入を多層的に防ぐ複合的な工法を採用しました。
まず根太間にスタイロフォーム(押出法ポリスチレンフォーム)を隙間なく充填しました。
スタイロフォームは断熱性能と防湿性能の両方に優れており、床下から上がってくる冷気・湿気を効果的に遮断します。
厚みは根太の成に合わせて選定し、根太上端と面一になるよう丁寧にカットして施工しました。
次に、床ドライ専用防湿シートを根太組全体に敷設しました。
防湿シートは透湿抵抗の高い専用素材を使用し、継ぎ目部分は100mm以上の重ね合わせを確保したうえで防湿テープで完全にシールしました。
これにより床下空間から上昇する水蒸気が床組内部へ侵入するのを確実に防いでいます。
さらに床調質材を16セット設置しました。
調質材は珪藻土や炭などの自然素材を用いた製品で、床下空間の湿度を自動的に調整する機能を持っています。
湿度が高い時期には余分な水分を吸収し、乾燥する時期には放湿するという調湿メカニズムにより、年間を通じて床下環境を良好に保ちます。
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スタイロフォーム:根太間全面充填、断熱・防湿の二重効果 |
根太工事と湿気対策が完了したのち、針葉樹構造用合板を根太上に張り付けました。
針葉樹合板は強度・剛性・釘保持力に優れ、フローリングや畳の下地として広く用いられる信頼性の高い材料です。
フローリング施工エリアと畳施工エリアの境界部には畳見切り材を設置しました。
畳見切り材はフローリングと畳の厚み差を吸収し、段差のないフラットな床面を実現するために欠かせない部材です。今回は畳の厚さに合わせた専用の見切り材を選定し、下地合板にビス固定したうえで接着剤を併用しています。

フローリングは施工前日から室内に搬入し、室内の温湿度に順応させる馴染ませ期間を設けました。
これはフローリングが施工後に伸縮して目開きや突き上げが発生するリスクを低減するための工程です。
張り付けは壁側から順に並べ、ウレタン系床用接着剤を下地合板全面に塗布したのち、サネ(凸凹の継手部分)を嵌め込みながら圧着しました。
部屋の形状に合わせて加工し、壁際の伸縮スペースも確保するため、スペーサーを挟みながら施工しました。

フローリングの向きは採光や部屋の長手方向に合わせて計画し、全体として統一感のある美しい仕上がりを実現しました。
畳工事
新調畳はフローリング施工後に採寸・製作を行いました。
今回のリフォームでは床の高さが変わるため、畳の厚みは新たな床面に合わせて調整されています。
現在使用されている畳床はわら床と化学床(ポリスチレンフォーム系)の2種類が主流ですが、今回は軽量で湿気に強く、品質が安定した建材畳床(化学床)を採用しました。

畳表にはH様のご希望により、国産のイ草を使用した高品質な畳表を選定しました。
新調畳は採寸図をもとに職人が手作業で製作し、敷設後は隙間や段差がないよう固定してあります。
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既存畳14枚:産業廃棄物として適正処理 |
建具工事
既存の間仕切り建具は老朽化による歪みと動作不良が生じており、開閉時の引っかかりや建具上部の隙間が問題となっていました。
今回の内装リフォームに合わせ、間仕切り引き戸を4枚全て新調しました。

新調した建具はフラッシュ戸構造を採用しており、内部に格子状の芯材を配置した軽量かつ剛性の高い扉です。
表面仕上げには幅広の化粧合板をベタ張り(全面貼り)とし、シンプルで清潔感のある仕上がりとしました。

化粧合板の色調はフローリングの木目・色調と統一感が出るよう選定し、新しくなった室内全体のコーディネートに配慮しています。
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建具種別:フラッシュ戸(幅広化粧合板ベタ張り) |
完工・引き渡し

床下構造から丁寧に改修することで、長年の問題であった床の沈みや軋み音を根本的に解消し、断熱・防湿性能を大幅に向上させることができました。
フローリングと畳を組み合わせた複合的な床構成は、現代的な生活の利便性と日本の伝統的な和の空間を両立した、H様ご家族のライフスタイルに合った仕上がりとなっています。
H様も、明るく歩き心地の良い床にリフォームされたことに大変お喜びくださっているご様子でした。
ご依頼くださり、まことにありがとうございました。
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